肺由来のエクソソーム等の細胞からの分泌物に高い抗炎症作用を発見~ステロイドに代わる天然成分の治療薬として急性肺傷害に効果~
東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター次世代創薬研究部の藤田雄准教授、内科学講座呼吸器内科の門田宰助教、荒屋潤講座担当教授、外科学講座呼吸器外科の大塚崇講座担当教授、東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広特任教授らの研究グループは、細菌性肺炎やウイルス性肺炎、敗血症など様々な傷害によって引き起こされる致死的な急性肺傷害(Acute lung injury: ALI)に対し、肺由来の細胞が分泌するエクソソームを含む細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)が、輸送する炎症や免疫応答に関与するリン脂質結合タンパク質であるアネキシンA1(ANXA1)やマイクロRNAを介したシグナル制御などによって、治療薬となることを発見しました。本研究グループは先行研究にて、ヒト気道上皮細胞(Human bronchial epithelial cell: HBEC)が分泌するEVsが、特発性肺線維症の病態の改善効果があることを発見しており、今回の研究では、同様のHBEC由来EVsが、細胞から分泌される天然成分として高い抗炎症作用を有してALIへの治療効果があることを明らかにしました。